ドーム兄弟
兄:オーギュスト・ドーム(1853年~1909年)弟:アントナン・ドーム (1864年~1930年)
父、ジャン・ドームから日常的なガラス製品を製造していた工場を引き継いだオーギュストとアントナンのドーム兄弟は、当時世界を席巻していたアール・ヌーヴォー様式(新しい芸術)の工芸部門で、同じナンシー出身の先駆者、エミール・ガレの活躍に刺激を受け、本格的に芸術的ガラス作品の制作に乗り出す。
当初は、ガレと度々比較されたが、その後ガレとは違った技法を駆使し博覧会(シカゴ万博・ブリュッセル万博などに作品を出品、金賞を受賞。アール・ヌーヴォー最盛期のパリ万博(1900年)で遂にガレと並びグランプリを獲得。
評価を不動のものとするドーム兄弟の作品の特徴は、当時すでに活躍していた各部門のスペシャリストを集め芸術集団を構成し、ひとつの作品を創り出すところにある。ナンシーという園芸がさかんな都市で、植物の細密な描写や、またロレーヌ地方の風景などを緻密に作品に反映させたところにガレとは対照的な美しさがある。
父から受け継いだガラス工場を兄弟二人で始め、その後アール・ヌーヴォーの最盛期(1900年前後)に大成功に導き、また時代の様式の変化に対応。現代においてもフランスを代表するガラス工房として存続。